創業のきっかけを教えてください。
大学を出てから5年ほど大手の設計事務所で働いていました。仕事は楽しかったのですが、設計の前段──「そもそも何を作るか」を決めるフェーズに、デザイナーがあまり関わっていない構造に違和感がありました。図面を引く前と、引いた後の運用。本当に価値があるのはこの2つの両端にある、という確信があって、29歳のときに独立しました。
「営みを、設計する」というステートメントの由来は?
創業から3年目くらいに、京都の小さな喫茶店をご一緒したんです。マスターが「うちは喫茶店ですけど、お客さんの一日のうちの20分間を引き受けてる店なんです」と言われて。空間ではなく、そこに流れる時間や所作を設計しているんだという気付きが、いまも会社の根本にあります。
採用で大切にしていることは?
図面の上手さや経歴より、観察の解像度を見ています。面接では「最近、ある場所で起きていた営みで、印象に残ったものはありますか」と必ず聞きます。コンビニのレジ前の動線でも、駅の階段の流れでもいい。具体的に、解像度高く描写できるかどうか。
最近の関心は?
居酒屋の椅子の高さです。一見、空間デザインと関係なさそうですが、椅子の高さが2cm違うだけで、人の話し方や酔いのスピードまで変わる。それを言語化したいと思って、毎週いろんな居酒屋に通っています。経費にしてくれと社員には言われていますが、私的な活動です。
これから一緒に働く方へ。
わが社は、強い思想を持った会社ではありません。むしろ「迷い続ける会社」だと思っています。お客様ごとに、毎回、答えを探し直す。その揺らぎを楽しめる方と、ご一緒できると嬉しいです。図面以外の話を、長時間できる人。たぶん、それが一番の素質です。